マンガ「説話集」ラーフラ 羅睺羅(らごら)の出家 ラーフラはブッダの子供②は、鈴木出版「仏教説話大系」1982年出版 監修:中村元先生・増谷文雄先生を参考にしてマンガとほぐし読みにしています。

ラーフラ 羅睺羅(らごら)の出家 ラーフラはブッダの息子② マンガ説話集

《ラーフラの出家》
シッダッタ王子が出家して六年の月日が過ぎました。
シッダッタ王子はついに悟りを開いて人々から
『仏陀』、『釈尊』、『世尊』、『如来』などと呼ばれ、
その教えを聴こうとする人たちから大いなる尊敬を得る様になりました。
釈尊は、バーラーナシー、ラージャガハなどを
旅しながらたくさんの人に教えを説いて回りました。
そしていよいよ故郷のカピラ城へと向かったのです。
ひさしぶりに釈尊を迎えるカピラ城の人々は、
スッドーダナ王をはじめとして釈尊の一行を手厚くもてなしました。
城に戻ってから7日目のこと、
ついにラーフラが母に連れられて釈尊のそばにやってきました。
ラーフラの母は釈尊の姿をみて息子のラーフラに話しかけます。
ご覧なさい王子よ、
あのたくさんのお弟子をつれて黄金色に輝いておられるお方があなたのお父様ですよ。
とても立派なお姿をしておるでしょう。


初めてみる父の姿にとまどっているラーフラに、
母はさらに続けてこう言いいました。
いいですか、ラーフラ。
お母様がいまから言うようにお父様のところに行って言うのですよ。
『お父様、わたしは王子のラーフラです。即位の儀式が終わると、わたしは王になるのでございます。どうかお父様の残された財産、財宝をわたしにお譲りくださいませ』
そして財宝を譲っていただくのです!
そして、
ラーフラは母の言うとおりに釈尊のもとに近づいていきました。
初めて見る父のすがたに胸を躍らせながら深々とお辞儀をして、
たどたどしく言うのでした。
お父さま、お父さまにお会いできて大変うれしく思います。
そのあとに、これまでの自分のことをあれこれ父に話しました。
そして、
本題の財宝を分けてくれるように頼んでみました。


ところが釈尊は、
なにも返事をせずに食事の礼だけを父王に述べて座席をたち、
そのまま立ち去ろうとしました。
あわてたラーフラは
お父さま!わたしに王家の財宝をお与えください!
と言いながら釈尊の後を追いかけます。
釈尊はついてくるのを止めようとせず、
黙って歩き続けました。


釈尊はこう思います。
この子はわたしの財宝を欲しがっているが、
この世の財宝は欲望のもとであり、
苦しみを引き起こすもとである。
この子には、わたしが菩提樹の下で得た、
なにものにも替えがたい
悟りの教えを財宝の代わりに与えてやろう。
それこそがこの子にとっての真の財宝となるであろう。
そう考えた釈尊は弟子の一人、
サーリプッタを呼び寄せて命じました。
サーリプッタよ、
わたしの息子であるラーフラを出家させてください。
サーリプッタは命じられるままにラーフラを出家の儀式を行って、
出家させたのでした。


《戒律が増えるエピソード》
余談ですが説話集に出てきます。
ラーフラが出家したことに驚いたスッドーダナ王は、
釈尊のもとに出かけていき、次のように頼み込みました。
釈尊よ、あなたが出家したとき、わたしの苦しみは計り知れなかった。そしてあなたの異母弟であるナンダが出家したときも大変かなしい思いをしたのです。
今度は孫のラーフラまでと聞いて、とても驚いています。
お願いですから今度は父母の許しなしに子供を出家させることはおやめください!
スッドーダナ王が嘆き悲しんでいるのをみて、
釈尊は修行僧たちをあつめてこのような決まりをつくりました。
修行僧たちよ、聞きなさい。今後は父母の許しのないものを出家させることはしてはなりません。
この時から僧団の守るべき規則の一つに加えられたのでした。
《ラーフラの出家 おわり》 つづく
ぼーさん、ラーフラさんの出家もちょっと強引だったんだね!
えん坊、ほんとだね!(笑)
そして、なんと!
原始仏典にも、サーリプッタがラーフラに入出息念の修行を勧める
「大ラーフラ教誡経」もあるからね!
ほぐし読みも楽しみだね!





