「モッガラーナの前世②カクサンダ仏出現」
このモッガラーナの前世のお話は、
すずき出版「仏教説話大系」1982年出版
著者:山田巌雄代表 仏教説話体系編集委員会
監修:中村元先生・増谷文雄先生
パーリ仏典、漢訳経典、大正大蔵経などたくさんある経典から、
選りすぐられた仏教に関する説話の内容を参考にして、
マンガとほぐし読みにしています。




マンガ仏教「説話」
「モッガラーナの前世②カクサンダ仏出現」
今回の説話は、モッガラーナの前世②のお話です。
《モッガラーナの前世①》はこちらです↓

モッガラーナは悪魔パーピマンに、前世は悪魔ドーシンだったことを話します。
《モッガラーナが悪魔ドーシンの頃を話す》
その時代にはカクサンダという仏がこの世にあらわれていて、
その仏には、ビドゥラとサンジーという優れた二人の弟子がいました。
ある日サンジーは静かな森の木の下で瞑想にはいっていました。
そのとき、
そこを通りかかった旅人や、
牛飼いや百姓や木こりたちは、
サンジーが少しも動かないで座っているのをみて、
死んでいるのかと思い、
彼の周りに薪をつみ上げて火をつけました。
薪は炎をあげて燃えました。
薪が燃え尽きた翌朝のことです。
サンジーは立ち上がって灰をはらい、
何事もなかったように立ち去りました。
そして、サンジーはその村の中を托鉢して回ったのでした。
その托鉢したサンジーを見た村人たちはとても驚いて、
彼のことを、”蘇生者サンジー”と呼んで一層尊敬したのです。
こうしてカクサンダとその弟子たちはますます尊敬され、
信じられるようになったのです。
それをみたわたしの前世である、悪魔ドーシンはこう考えたのです。
しかし、
わたしの企てをしったカクサンダ仏は、
ふたりの弟子たちをいましめて悪魔にとりつかれる隙を一切与えなかったのです。
そこで、悪魔ドーシンは、バラモンや信者たちにとりついて、
托鉢をしている仏の弟子達に、
悪口をいったり、ののしったりしたのでした。
ある日、
カクサンダ仏は弟子たちと村々を托鉢して歩いていました。
これをみた悪魔ドーシンは、
一人の子供にとりついて石でビドゥラの頭を打ちつけました。
ビドゥラは頭から血を流しました、
それでも、
ビドゥラはそのまま、カクサンダ仏に従って歩みをつづけました。
これをみたカクサンダ仏は
まるで象が振り向くかのように、
悪魔のほうをふりむいてこう云いました。
その瞬間、
悪魔ドーシンは、
その場所から堕ちて大地獄にうまれました。
体は人間、頭は魚の姿となって、
気の遠くなるほどの永い間地獄の苦しみを受けたのでした。
モッガラーナがこう語りおわると、
悪魔パーピマンは力なく姿を消したのでした。

***「モッガラーナの前世 悪魔ドゥーシン②終わり」 完***
登場人物おさらい
《カクサンダ仏》
カクサンダ仏はブッダの過去の仏のひとりです。
原始仏典では長部経典 第14経「大本経」(だいほんきょう)にでてきます。
過去七仏(かこしちぶつ)
1、ヴィパッシン
2、シキン
3、ヴュッサブー
4、カクサンダ
5、コーナーガマナ
6、カッサパ
7、シャカ(ブッダ)
