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「モッガラーナの前世①」
このモッガラーナの前世のお話は、
すずき出版「仏教説話大系」1982年出版
著者:山田巌雄代表 仏教説話体系編集委員会
監修:中村元先生・増谷文雄先生
パーリ仏典、漢訳経典、大正大蔵経などたくさんある経典から、
選りすぐられた仏教に関する説話の内容を参考にして、
マンガとほぐし読みにしています。




マンガ仏教「説話」
「モッガラーナの前世①」
今回の説話は、モッガラーナの前世のお話です。
《モッガラーナの幼少期》はこちらです↓

《モッガラーナは神通第一のブッダの弟子》
ブッダのもとに出家したコーリタ(幼少期のモッガラーナの名前)は、
ブッダや仲間たちから、モッガラーナと呼ばれるようになります。
モッガラーナは、神通力が誰よりもすぐれていたので、仏教僧団では神通第一(じんつうだいいち)の称号でも呼ばれています。
原始仏典には、モッガラーナの神通力にまつわる面白い経典がいくつか紹介されています。
今回紹介するお話も、
思わず、この内容が経典なの?と思ってしまうような、
不思議で楽しいエピソードです。
このお話も、
パーリ仏典の中部経典 第50経「降魔経」(こうまきょう)
できちんと仏典で継承されている内容です。
また、モッガラーナは前生の因縁で、
悟りをえて阿羅漢になったあとも、
いろんな困難にも遭遇しているのが興味深いので、
別の機会で紹介したいと思います。
では、今回は悪魔がお腹に入り込むこちらの経典を紹介します。
《モッガラーナのお腹のなかに入った悪魔パーピマン》
あるとき、モッガラーナはひとり鹿野園で、
精神を集中して瞑想にふけっていました。
ちょうどそれを見ていた悪魔パーピマンが、
モッガラーナにばれないように、
モッガラーナの腹の中に入りこみます。
モッガラーナは
と思い、
瞑想をやめて部屋にはいり、席に座り、注意深くひとりで思いを凝らしました。
するとお腹の重苦しい原因が、
悪魔パーピマンがお腹に入っていることだとわかりました。
モッガラーナはお腹にいる悪魔パーピマンに話しかけます。
その行為はあなたに永い間、不利益と苦しみをもたらすことになりますよ。
そんなことをしてはいけません。
パーピマンはおもいました。
(わたしが腹の中にいることをこの僧にわかるはずがない、どうしてこの僧がわたしを知ることができるだろう)
こういわれて、
悪魔パーピマンは驚いて、モッガラーナの口からでて部屋の戸口にたちました。
そして、
モッガラーナは悪魔パーピマンにこう言います。
カーリーという妹がいたのだ。
そして、
その妹の息子が、
君、悪魔パーピマンなのだよ。
そして、悪魔ドゥーシンのモッガラーナは、
悪魔パーピマンに
前世の話をするのです。
***「モッガラーナの前世 悪魔ドゥーシン①終わり」 2話につづく***
登場人物おさらい
《悪魔パーピマン》
中部経典 第49経「梵天招待経」にも出てきます。
このお経では、悪魔パーピマンは梵天バカに憑りつき、
ブッダと真理のやり取りをしていきます。
パーピマンの意味は「悪しきことを行う者」漢訳では「波旬」
ブッダや弟子たち修行僧の修行を妨げようとする悪魔
《悪魔ドゥーシン》
モッガラーナの前世での悪魔です。ドーシンとも書かれていたりしています。
中部経典 50経以外では見つけることができませんでした。
この二つのお経は、中部経典 小一対の章の中に分類されていますが、その中でも分類されにくい内容の経典なので、最後につけられている印象があります。
《モッガラーナの神通力がでてくるお経》
・中部経典 第37経 「愛尽経」(あいじんきょう)
このお経では、モッガラーナが帝釈天がいる天の宮殿に神通力で行き、帝釈天が怠惰だったのを見て感じたので、足の親指で帝釈天自慢のヴェージャヤンタ宮殿をゆさぶり激動させるエピソードがでてきます。
ブッダの教えでの神通力は図解で確認ください。
神通力について



