この「大日経」(だいにちきょう)成就悉地品第七(じょうじゅしっちぽん)は、角川文庫「全品現代語訳 大日経」著者:大角修先生の本を主に参考にして、ほぐし読みにしました。
「阿字観の教説↓」と照らし合わせてみて下さい。

前回、大日如来は、「阿字観」と「心月輪」の瞑想を説かれました!↓

「阿・ア」の次は、「暗・アン」の思念 「大日経」成就悉地品第七(じょうじゅしっちぽん)ほぐし読み⑧
成就悉地品第七(じょうじゅしっちぽん)
《大日如来は金剛薩埵に心が曼荼羅を伝えます。》
大日如来は金剛薩埵に告げます。
摩訶薩(まかさつ・菩薩の意味)のこころが曼荼羅です。
すべてこころから生じるのです。
決定の心をもって歓喜するところに、内心処(ないしんじょ・本来の清浄心)があります。
真言はそこから発現して広大な果を招くのです。
次に、
大日如来はマンダラの念じかたを伝えます。
《曼荼羅の中央の蓮華処を念じると伝えます。》

曼荼羅(マンダラ)の中央の蓮華処を念じなさい。
その蓮華には八つの花弁があり、
マンダラの諸尊に繋がる蕊(しべ)を拡げています。
その蓮華が「阿字門」(ア字門)です。
光輝き衆生を照らす仏が、水に映る月が人々の前に現れるかのように現れるのです。
「阿・ア」はこれだね!


次に、
阿字の上に大空点(梵字の点)を打ち、暗(アン)字を思惟しなさい。
「アン・暗」はこうだね!


ちなみに、わたくし普賢菩薩の「アン」はこうですよ。
点の下に横線が入っています。


水晶と月と雷光のごとく清浄無垢にして、
一切が拠りどころとする寂静法身(じゃくじょうほつしん)と、なるのです。
もろもろの真言の悉地がさまざまな形にあらわれ、
天上の楽と解脱を得て、如来の言葉を体得するでしょう。
以下、阿字から生じるラ字まで説かれる。
《成就悉地品第七 おわり》つづく
「阿字門」の思念は、心や息を静めるためにする。
阿字観の思念の意味を
「大日経」息障品第三(そくしょうぼん)金剛薩埵の3つの質問その一
で振り返ると、
質問1、曼荼羅の道場にて真言行を修する者は、
煩悩などの障礙(しょうげ)をいかに浄め除くのでしょうか?
その障礙を取り除くには、菩提心を念じなさい。
常に不動明王を思念し、その密印を結べば、障礙は除かれるでしょう。
そして、
散乱の風(乱れた呼吸の息のこと)を防ぐには、
梵字の「阿」(あ)を自己の身体とし、心に阿字の法門を持つのです。
このことは、過去の諸仏の説示である。
と説かれています。
ねぇ、ぼーさん!お経を読んでいくと、
密教の観想方法の意味が、なんとなくわかってきたね!
ほんとだね!えん坊。
乱れた水面(こころ)に、「あ」を思惟して、
水面に月が映るかのように、心を穏やかにしていく瞑想だね!
前回、阿字観の「悉知出現品第六」にも、行者は満月の夜に真言を誦しなさい。
障礙(しょうげ)は伏せられ、心に迷乱はなくなるでしょう。
というのも、満月は水面に映りやすいからかもしれないね!
どのお経にも「こころを静める」共通の修法が見えてきたね!
そして、そこから、次の「アン」に思念を深めていくんだね!
秘密がいっぱいだね!つづきも見てみよう!

