六師外道「アジタ・ケーサーカンバラ」
「断滅論者・虚無論者・唯物論」




六師外道(ろくしげどう)
六師外道(ろくしげどう)とはブッダ当時活躍していた沙門の修行僧たちで、仏教(ブッダの教え)と違う考えの見解なので、仏教の外の道(外道)と呼ばれています。
アジタ・ケーサカンバラ
アジタ・ケーサカンバラ(アジタ・ケーサカンバリンとも表記される。)は六師外道のひとりで、人間の髪の毛でできた服をきていたと言われています。その髪の毛でできた服は、夏は暑く、冬は寒いと解説にあります。
原始仏典にでてくるアジタ・ケーサカンバラ
長部経典 第二経「沙門果経」
アジャータサットゥ王子が、「目に見える形の修行の成果」の質問をして、アジタ・ケーサカンバラが回答したのが、
「布施というものはありません。供物やいけにえを神霊に供える、供犠(くぎ)もありません。死者の冥福を祈る、供養もありません。善い行い、悪い行いの果報や報いはありません。この世もなく、あの世もなく、父も母も、沙門もバラモンもいません。この人間は四大元素からなり、死んだときには、地の元素は地の本体に戻り、水・火・風もそれぞれの本体に戻り、もろもろの感覚器官は何もない空間の虚空(こくう)に転移します。焼かれた後は灰色の骨だけが残ります。布施は愚か者の妄想です。たとえ誰かが、四大元素以外の実在論を唱えたとしても、それは虚偽虚妄の話であって、愚か者も賢者も肉体の消滅によって、絶滅し滅亡し、死後には存在しません」と「断滅論」の回答をしました。
と「断滅論・虚無論」を説いているエピソードがでてきます。
中部教典 第七六経「サンダカ経」
第一の清らかならざる行いでも、同じように、間違った見識をする者としてアジタ・ケーサカンバラの「断滅論・虚無論」が取り上げられてでてきます。こちらの註訳では四大元素のみが実在する「唯物論」とも解説されています。
「図解」4.沙門の思想と六師外道