マンガ「説話集」マハーカッサパの結婚
前回、《カッサパのお見合い》カッサパは、黄金の女神像に似た女性がいれば、結婚すると言い、バラモンは女性を探しにいきます。
マハーカッサパの結婚 仏教説話集





《黄金の乙女が見つかる》
黄金の女神像に似た女性を探しているバラモンたちは、
諸国をあるいて、ある村につきました。
そこには富豪のバラモンがいて、
多くの財産と大勢の召使いのほかに、
バッダーカピラーニーという世にもまれな美しい娘がいました。
《バッダーカピラーニー》
この娘は年ごろにもかかわらず、
常日頃から結婚をきらい、
家をでて出家したいと望んでいました。
それで村祭りの日に、この黄金の乙女の神像のことをきいていた娘は、
願い事を祈ろうとして出かけました。
この像の前に立った美しい娘をみて周りにいた人々は息をのみました。
娘の美しさの前では、この像も色あせて見えたからでした。
これをみて喜んだ嫁探しのバラモンは、さっそく娘の両親を訪ねてバッダーカピラーニーをピッパリの嫁にくれるように頼みました。
こうして、お互いの親族が、
両家が資産の面でも釣り合いがとれるかどうかの調査をして、
その結果、満足のいく婚姻であると両家が納得して、
結婚のはなしがまとまりそうになりましたが、
《ピッパリ(カッサパ)が娘に会いに行く》
ほんとうにその娘がバラモンのいうとおりかどうか、
自分の目でたしかめようと思ったピッパリは両親にこう言いました。
「わたしはこれから娘の家に行って、
本当にバラモンのいうとおりの美しい娘なのかどうか、
自分で確かめにいきます。
そして、もしも彼のいうことが真実でしたら、
その娘と結婚します。」
こうして彼は旅の支度をすると、
托鉢をしながら娘の村に行き、
娘の家の前に立って施しをこいました。
ちょうどこの時家にいた娘が、自分でピッパリに食べ物を与えました。
ピッパリは娘を一目見て、
これが話に聞いた娘であると思い、
ちかごろあなたに結婚の話があったのではありませんか?
一人息子のピッパリの妻に欲しいという話があります。
修行することを望んでいると聞いていますが
わたしも同じように望んでいました。
今度の結婚はわたしの父母に無理やり押し付けられたのです。
《二人の結婚生活》
こうして二人はこの先どうするかを話し合い、
形だけの結婚をすること、
欲をはなれて清い関係でいること、
そして修行を積んでいくことを約束して別れ、
家にもどってそれぞれ親に結婚をすることを承知しました。
結婚式は盛大に行われましたが、
若い二人は同じ部屋にいても手も触れあわず、
一人が眠っている場合は、もうひとりは外に出て歩き回っていました。
ある夜、妻が眠っていた時に一匹の毒蛇が床をはってきました。
妻の片手が寝台から垂れていることに気が付いたピッパリは、
自分の手に布を巻き付けて妻の手を寝台の上にあげてあげました。
翌朝、妻は彼の手が自分の手に触れたのではないかと心配しましたが、
事情をきいて安心したのでした。
「マハーカッサパの結婚 終わり」 つづく



