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ブッダ、ウパカに初めて説法する「聖求経」④(しょうぐきょう)
「聖なるものを求めて」④*成道後、ウパカに初めて説法する




中部教典 第26経 「聖求経」(しょうぐきょう)はブッダはなぜ出家をしたのか、ブッダが出家を決意する心境が詳細に書かれているお経です。出家してアーラーラ長老(漢訳では仙人)とウッダカ長老の教えを受けたのち、一人で修行し、独坐で成道(ニッバーナ)しました。自ら如実体現した成道の真理の教えを梵天ブラフマンから懇願されて、説法の伝道を決心して、初めての説法するブッダの様子が描かれているお経です。このサイトでは4話目です。
第26経「聖求経」ほぐし読み④「第四話」
わたくしアーナンダはつづきをこう聞きました!
《第一話》ブッダが出家を決意する「聖求経」①はこちらです。
「第四話」
つぎにわたしは、この成道の教えをだれに説くべきであろうかと考え、
アーラーラ・カーラーマは聡明なので、この教えをたちどころに理解するであろうと思いました。
すると、神々がわたしのところにきてこう言いました。
「尊い方よ、アーラーラ・カーラーマは七日前に亡くなりました。」
つぎにわたしは、この教えをだれに説くべきであろうかと考え、
ウッダカ・ラーマプッタは聡明なので、この教えをたちどころに理解するであろうと思いました。
すると、神々がわたしのところにきてこう言いました。
「尊い方よ、ウッダカ・ラーマプッタは昨夜に亡くなりました。」
つぎにわたしは、この教えをだれに説くべきであろうかと考え、
わたしと共に修行をした、五人の修行僧たちはみんな修行に努め励み、さらにわたしを援助し、よく仕えてくれた。さあ、わたしは五人の修行僧たちに最初に教えを説こうと思い、
バーラーナシーへと遊行にでかけました。
その道中、アージヴィカ教のウパカとすれ違ってわたしにこういいました。
あなたのお姿は清浄で、肌の色も清らかで、純白です。
あなたは誰を師として出家したのですか?
あなたの師は誰ですか?
あなたは誰の教えを受けているのですか?
そのように聞かれて、わたしはウパカに詩句で答えました。
わたしは一切にうち勝った者であり、一切を知る者である。
一切の煩悩を捨て、煩悩を消滅させて、解脱した。
生きるはかなさの「苦」からの解脱を、
みずから知ったのであるから、
だれを師としようか、わたしには師はいない。
神々を含む世界でも、わたしに比べられる者はいない。
わたしは世間で尊敬されるべき者であり、わたしは最上の師である。
わたしは唯一の正しく目覚めた者であり、安らいだ境地の涅槃を知るものである。
わたしは真理の輪を廻すために、カーシーの町に行く、
闇となった世界で、不死の門の扉を開けよう。
それを聞いたウパカは、
ブッダに伝えます。
あなたが言われるその通りであるならば、
あなたは最上の勝者に値しますが
さらにわたしは詩句で答えました。
煩悩を消滅させた人は、勝者である。
わたしはもろもろの悪いことがらの煩悩を克服し消滅させた。
それゆえに、ウパカよ、わたしは勝者である。
それを聞いたウパカは
友よ、そうかもしれない・・・。
といって、頭を横に振り、去って行った。
「・・・第五話につづく」
ウパカはアージヴィカ教マッカリ・ゴーサーラの弟子
下のマッカリ・ゴーサーラで確認してね!
ウパカの初説法失敗はとても大事な前置き
他宗派の考え方や、固執した考え方を持った人には、初めて聞くブッダの話には抵抗があり、受け入れられなく拒んでしまうことが描かれています。
成道したブッダが最初に思った言葉が、
(参考:「第三話」ブラフマン懇願)
わたしが苦労して得たものを、いま説く必要はない。
貪りや怒りに負かされた人々には、この真理はよく理解しがたい。
世間の流れに逆らい行き、微妙で、深遠で、見がたく、微細であるこの真理を、
貪欲に染まり、暗黒に覆われた人々は、見ない。
ブッダ自身も、自分が得た覚りの教えを伝えることが困難であると思っていて、
実際にウパカにも伝えることができなかったエピソードが、成道して最初にでてきています。
このウパカへの初説法の失敗を活かして、ブッダは次に行く、共に修行した五人の比丘に伝えるときに説法のやりかたに工夫をしているのがお経から読み取れます。
次回は、五人の修行僧への「初転法輪」のエピソードになります。
しかし、えん坊、絵がどんどんきれいになってきてるね!専用ソフトはすごいね!(笑)