マンガ「説話集」頭陀第一のマハーカッサパとブッダ
前回、《カッサパと糞掃衣》でカッサパは、ブッダから糞掃衣をもらいます。そして厳しい戒律を守る出家生活を送ります。
頭陀第一(ずだだいいち)マハーカッサパとブッダ 頭陀の12行 マンガ仏教説話




《頭陀第一のマハーカッサパ》
マハーカッサパは釈尊の数多い弟子たちのなかでも頭陀第一と、
たたえられました。
頭陀とは、衣、食、住の三つに対する欲を捨て去り、
極めて質素な生活のなかで、
心身を修練しながら修行することです。
この頭陀の行をわけると次の12になります。
《頭陀の12行》
①人里離れた静かなところで修行をする
②常に托鉢によって食べ物を得る
③その食を請うときは貧富を選ばず、どんなに貧しい家の粗末な食べ物でも喜んで食べる
④一日に一食しか受けない
⑤食を多くとらない
⑥正午を過ぎてからは食をとらない。
⑦人が捨てたぼろ布で作った衣を身に着ける
⑧釈尊がさだめた袈裟以外は所持しない
⑨墓場にすむ
⑩静かな林の木の下に住む
⑪空き地にすわる
⑫常に座して横に座らない。
これら12の定めを守るのが頭陀の行です。
この中の一つを守るだけでも並の人たちにはできないことですが、
マハーカッサパはすべてを固く厳しく守りとおしたのでした。
彼は長者や身分の高い者の家を避けて貧しい家を托鉢して歩き、
その粗末な食べ物を受けることにしました。
これは貧しいものに功徳を積ませ、
後世に福徳を得させるためでした。
このようなカッサパのうたがあります。
《カッサパのうた》
わたしは住まいを 起きいでて
食を請うては 村に行き
悪しき病人 住む家に
威儀(いぎ)を正して 近づいた
彼は腐った その手から
わずかな食を 施した
ひとかたまりの 食べ物を
わたしの鉢に 入れたとき
腐った指が 一本落ちた
わたしは塀の 下に座し
そのかたまりを 食べ終えた
わたしの心は 喜びに
震えて心底 感謝した
威儀(いぎ)の意味
1 いかめしく重々しい動作。立ち居振る舞いに威厳を示す作法。
2 仏語。
㋐規律にかなった起居動作。また、その作法・規律。
㋑袈裟 (けさ) につけた平ぐけのひも。袈裟をまとうとき肩にかける。
参考:goo辞典
マハーカッサパはつねに、
施しを受けただけの衣、食べ物、座具、薬で満足し、
施しを強いることはなく、
施しが得られなくてもそれを苦痛とも思わず、
多くの施しを得てそれを自分だけで独り占めするようなことは、
ありませんでした。
釈尊は彼のこのような態度をつぎのようにほめたたえました。
「マハーカッサパが托鉢に歩く姿は、
月の光のように輝いている。
何事に対しても慎み深く、
古井戸の水のように清らかに澄み切っている。」
「頭陀第一 マハーカッサパ終わり」 つづく

