



このコーンダンニャの話は、鈴木出版「仏教説話大系」1982年出版 監修:中村元先生・増谷文雄先生を参考にしてマンガとほぐし読みにしています。
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「ブッダの最初の弟子、コーンダンニャ」
マンガ仏教「説話⑤」
「コーンダンニャの予言」
《ブッダとコーンダンニャの関係》
釈尊が最初に説法した五人のなかで、
コーンダンニャは最初に悟りを開いたので、
釈尊からこう言われました。
「わたしの弟子の中で一番古いものはコーンダンニャである」
こうしてコーンダンニャは、
豊かな経験を持つものとして弟子たちの中で指導者としての
役目も果たしていったのです。
《コーンダンニャの生い立ち》
彼はカピラ城の近くのある村の、
裕福なバラモンの家にうまれました。
幼いころから学問が好きでヒンズー教の聖典をよく読んでいましたが、
特に占いを得意としていました。
彼がまだ年若いころ、
カピラ城のスッドーダナ王に王子がうまれ、
今日で五日目という日にスッドーダナ王は、
王子のために命名の儀式を開こうと考えました。
お付きのものたちに王宮の中にすばらしい香りの香料をぬらせ、
床には色とりどりの花をまきちらし、
美しく飾り付けをさせました。
そしてたくさんのごちそうを用意させると、
ヒンズー教典によく通じているバラモン108人を招待し、
宮中の中央に座らせて言いました。
するとバラモンの中で八人の者が前に進み出て、
王様に答えました。
ラーマ、ダジャ、ラッカナ、マンティー、ボージャ、
スヤーマ、スダッタ、コーンダンニャの八人でした。
スッドーダナ王は彼ら八人に王子の姿をみせて占わせました。
すると八人中七人は、
二本の指を立ててこう言いました。
「王様、王子さまはもし家庭生活をなされば、
この世の最高の王たる転輪聖王となりましょう。
また、もし普通の生活を離れて出家なさったならば、
この世にすがたをあらわすのが非常にまれだとされる仏と
なられましょう。」
そして転輪聖王の詳しい特性を王につげ、
スッドーダナ王を大変喜ばせました。
しかし、
八人の中で一番年若いコーンダンニャは、
ただ一本の指を立ててこう言いました。
王様。このかたが普通の生活をなさり、
家庭にとどまるとは考えられません。
王子さまはきっと、
この世の苦しみをなくし、
迷いをなくし、
立派な仏となることでしょう。
わたしにはそのように見えます。
彼が一本の指を立てたのは、
王子が必ず仏になることをつよく言いたかったためでした。
占いが終わり、
バラモンたちはスッドーダナ王に御礼を述べると、
それぞれ王宮を後にしました。
そして、
七人のバラモンたちは自分の子供を呼び寄せるとこう嘆くのでした。
「我が息子よ、わたしはもう年老いている。
今日スッドーダナ王の王子が将来仏になられるであろうと
予言をうけたが、
年老いたわたしは、あのお方が正しい悟りを開かれて
仏になられても尊いお姿をおがめることはできないであろう…
ああ、残念なことだ。」
そう言って深いため息をついた後、
さらに言葉をつづけました。
「しかし、お前はまだ若い。
あの王子が悟りを開かれ、仏となられたならば、
お前は仏のもとで教えに従って出家しなさい。
お前がわたしに代わって仏に仕えるのだ。」
七人のバラモンたちは、
皆このように自分たちの息子に言い聞かせて余生を送りましたが、
年若いコーンダンニャは身体も大変丈夫であったので、
老いるどころかますます修行に励んだのでした。
****コーンダンニャの予言 終わり****
登場人物のおさらい
《コーンダンニャ》
成道前のブッダと苦行を共にした五人の修行僧の一人で、
五人の修行僧は五比丘(ごびく)と呼ばれます。
この説話集ではブッダが生まれて5日目のエピソードなので、
ブッダよりかなり年上だったのがわかります。
五比丘(ごびく)は下の五人になります。
原始仏典では中部経典 第26経「聖求経」(しょうぐきょう)に出てきます。
*パーリ語(サンスクリット語)
・コーダンニャ(カウンディヌヤ)・・・ブッダと同じカピラバットゥ出身
・バッパ(バーシュッパ)
・バッディヤ(バドリカ)・・・ブッダと同じ釈迦族
・マハーナーマ(マハーナーマ)・・・元はコーリヤ族の王子といわれる
・アッサジ(アシュバジット)・・・立ち振る舞いが立派で知られる人物




