この「大日経」(だいにちきょう)受方便学処第十八(じゅほうべんがくしょぼん)は、角川文庫「全品現代語訳 大日経」著者:大角修先生の本を主に参考にして、ほぐし読みにしました。
前回、大日如来は、「体に置く梵字」を説かれました!↓

目次 クリックでジャンプ
密教の戒律の実践 受方便学処第十八「大日経」
受方便学処第十八(じゅほうべんがくしょぼん)
金剛薩埵は大日如来にお願いしました。
真言行において菩薩の行を修する者が、学ぶべきことをお説きください。
大日如来は、一切法界を観じてから、回答します。
善巧修行(ぜんぎょうしゅぎょう)の道を説きましょう。
《十の修行内容が説かれます。》
1、不殺生戒 (ふせつしょうかい)「生き物をむやみに殺してはいけない」
2、不与取戒 (ふよしゅかい)「ほかの人の物を盗んではいけない」
3、欲邪行戒 (よくじゃぎょうかい)「みだらな行為をしてはいけない」
4、不虚誑語戒 (ふこおうごかい)「嘘をついてはいけない」
5、不麁悪語戒 (ふそあくごかい)「口を慎むこと」
6、不両舌語戒(ふりょうぜつごかい)「相手によって異なることを言ってはいけない」
7、不無義語戒(ふむぎごかい)「無意味なことを言ってはいけない」
8、不貪欲戒(ふとくよくかい)「むさぼってはいけない」
9、不瞋恚戒(ふしんにかい)「おこってはいけない」
10、不邪見戒(ふじゃけんかい)「見識を誤ってはいけない」


金剛薩埵よ、
菩薩の道において、このように修行すれば、諸仏・諸菩薩が同行するのです。
そのように学びなさい。
そして、
《金剛薩埵はさらに質問します。》
①声聞乗(小乗の仏教)でも十善業(じゅうぜんごう)を説きました、
②世間の人々も外道達もまた十善業を修行しています。
それらとどこが違うのでしょうか?
大日如来は答えます。
①声聞は慧と方便を離れています。
②世間の人々は我執にとらわれて、外発的な理由によって十善業をおこないます。
菩薩の道において修する者は、
あらゆるものは平等の一切法(いっさいほう)に入って、
智慧と方便をそなえて、修行を勤めるのです。
身口意平等の法って密教をしている人だけの教えなんだね・・・。
分別しているのは法華経と変わらないね・・・。
そして、
大日如来は、大慈悲の眼をもって衆生界を観察し、
金剛薩埵に伝えます。
《大日如来は菩薩の道をゆく者の戒を伝えます。》
ここの戒の説明は、「ただし何々の場合は除く。」と、細かく説法がされています。
是非、参考文献でも確認くださいね!
菩薩の道をゆくものは、寿命が尽きるまで、
1,不殺生戒(不奪生命戒)をもちなさい。
2,不与取戒をもちなさい。
3,不邪淫戒をもちなさい。
4,不妄語戒をもちなさい。
5,不麁悪語戒をもちなさい。
6,不両舌語戒をもちなさい。
7,不奇語戒をもちなさい。
ただし、戯笑(けしょう・いつわりの笑い)によって衆生の欲楽を発起し、仏門に入れることは除く。それは無義利語といえども、このような菩薩は生死流転のとらわれから離れるでしょう。
8,不慳貪戒(ふけんどんかい)をもちなさい。
9,不瞋恚戒をもちなさい。
10,不邪見戒をもちなさい
菩薩は邪見を離れて正見を行いなさい。
来世を恐れて、害意なく、こびへつらいなく、仏法僧の三宝において決定(けつじょう)を得なさい。
邪見はもっとも極大の過失であり、菩薩の一切の善根を断ってしまうのです。
それは一切の不善を生む母なのです。
だから、
戯笑(けしょう・いつわりの笑い)にいたるまで、邪見の因縁を起こしてはならないのです。
そして、
金剛薩埵は、
《さらに、大日如来に質問します。》
願わくは極悪の根本を断つ十善戒をお説きください。
大日如来は答えます。
菩薩には、在家と出家の二種があります。
《「在家の戒」の回答をします。》
在家の菩薩は、
五戒を持したらよいでしょう。
種だねの方便にしたがい、
四摂法で人々と接して、
皆に三菩提(さんぼだい)を志すようにしなさい。
【三菩提の補足説明】
1,阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)の略で、
一切の真理を悟ったその智慧の悟り。完全な悟り。
2,三種の菩提。
三乗の人が得る「声聞菩提」・「縁覚菩提」・「無上正等菩提」の三種
3,仏の三身
「応化仏(方便)菩提」・「報仏(実智)菩提」・「法仏(真性)菩提」の三種
精選版 日本国語大辞典より
在家の五戒は
1、不殺生戒 (ふせつしょうかい)「生き物をむやみに殺してはいけない」
2、不偸盗戒 (ふちゅうとうかい)「ほかの人の物を盗んではいけない」
3、不邪淫戒 (ふじゃいんかい)「みだらな行為をしてはいけない」
4、不妄語戒 (ふもうごかい)「嘘をついてはいけない」
5、不邪見戒(ふじゃけんかい)「見識を誤ってはいけない」
です。
《「菩薩の戒」の回答をします。》
菩薩は
これら在家の善戒を持って、
さらに、信をもって修学に勤めなさい。
過去から続く諸如来の学ぶべきことに随って、
有為(うい・現実に現象する事物)の戒に住するのです。
智慧と方便をそなえて、
如来の無為戒蘊(むいかいうん・因果を超越した世界)に至ることができるでしょう。
逆に、
《さらに、「四種の根本罪」も回答します。》
四種の根本罪(こんぼんざい)があります。
命をかけても犯してはならないのです。
1,謗法(ほうぼう)、仏法をそしること
2,菩提心を捨て離れること
3,慳悋(けんりん)の物をおしみ執着すること
4,衆生悩害(しゅじょうのうがい)の人々を苦悩させ傷つけること。
です。
それらは、染(ぜん)の煩悩にけがされている状態で、菩薩戒を持するにあらずならのです。
《受方便学処第十八 おわり》つづく


ねぇ、ぼーさん!やっぱり自分をいましめる「戒」はとても大事なんだね!
えん坊!ほんとだね!
戒律が守られると、教えが保たれるからとっても大事なんだね!
経典がつくられた理由も参考にしてみてください!
戒律は大事じゃから、一番最初に作ったのじゃ!カッ!


参考文献↓

