この長部経典第3経「あまちゅう経」・「アンバッタ経」のほぐし読みは、以前に「原始仏典の教えを拾うために」大まかにまとめた内容をほぐし読みに整理しました。
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長部経典 第三経 阿摩晝経(あまちゅうきょう)
「アンバッタ経」青年バラモンのおごり
《経典のあらすじ》
コーサラ国の国王パセーナディからウッカッターの土地を授けられ住んでいた、ポッカラサーティ・バラモンと弟子アンバッタがブッタの賞賛のうわさを聞いて真相(三十二の特徴をもつのとか)を確かめにブッダに会いに行くお話で、
実践と明知の完成と失敗へ導く門の説法するお経です。
第一章
《はじまりの場面》
ポッカラサーティ・バラモンは、ブッダが五百人の修行者とともにコーサラ国のイッチャーナンガラに到着したのを聞いて、三ヴェーダに精通しているアンバッダ青年をブッダに会いに行かせる場面から始まります。
《アンバッタ青年ブッダに会う》
アンバッタ青年はブッダに会って、
坐っているブッタに対して、歩きながら話をして礼儀にかける態度で接します。
ブッダはアンバッタ青年に問います。
バラモンに対してもそのような態度で話をするのですか?
アンバッタ青年は答えます。
バラモンに対しては対等に接する。
さらに、こうも言い放ちます。
はげ頭のにせ道の人たちは、梵天の足からうまれたもので、
バラモンは梵天の口から生まれている。
さらに、
釈迦族(サーキャ族 能力の意味)のことも非難します。
そして、
クシャトリア、バラモン、ヴァイシャ、シュードラ、四つの階級はバラモンのみに奉仕すべきである。
とバラモンの階級の優位性を話します。
《参考》バラモンの思想
アンバッタ青年の話が終わり、次にブッダが質問します。
《ブッダがアンバッタに質問する》
ブッダはアンバッタ青年にアンバッタ青年の氏姓を問います。
アンバッタ青年は「カンハーヤナ」と答えます。
ブッダはシャカ族の下僕女のディサーの産んだ子供がカンハ(黒い)という名前で、当時鬼のこともカンハと呼んでいたことを話します。
そして、
と伝えます。
ブッダはさらにアンバッタ青年に質問します。
あなたはバラモンの先生たちにカンハーヤナ族の祖先はどこから始まり、また誰がカンハーヤナ族の子孫か聞きましたか?
と、同じ質問をブッダに3回問われたのに答えないアンバッタの頭上に、
金剛手の神霊(帝釈天)が金剛杵(こんごうしょ)をもって現れます。
《ブッダはアンバッタ青年をかばう》
他のバラモン達がアンバッタ青年を非難しますが、
ブッダはアンバッダ青年をかばい、
アンバッダ青年に、
名まえの由来を説き、
王族の娘の子供の観点から説き、
王族がすぐれているのを説いて聞かせます。
そして、さらに
梵天の息子サナンクマーラ(梵語ではサナト・クマーラ 梵天の息子の一人)の
詩節をもちいて説法します。
「氏姓を尊ぶ人々のあいだでは、
王族は最上のもの
神々と人類とのあいだでは、
明知と実践とを完全に具えている人が最上のもの」
ブッダもおなじように詩節を詠みます。
王族は最上のもの
神々と人類とのあいだでは、
明知と実践とを完全に具えている人が最上のもの
第二章
《アンバッタがブッダに実践の質問をする》
アンバッタはブッダに実践と明知の質問をします。
そして、
ブッダが実践と明知の完成を説法していきます。
◇実践と明知の完成
生まれ、氏姓、婚姻においても、わたしに相応しいとか議論にとわられていると程遠いのです。
そのような議論をすてるなら、無上の明知と実践の完成を自分の目で見ることが出来るのです。
◇実践について
家庭の生活は煩わしいものとしり家をでて、
出家して
戒律規定(パーティモッカ)の防御によって自己を制御し正しい行い托鉢、
微量な罪恐れ、
戒律の項目(シッカーパダ)を受け入れ、
学び気持ちを落ち着け(正念)、
正しく自覚(正知)、
で満足しているのです。
と説法をして、
そして、
◇小・中・大の戒め
も説法して、
◇戒めによる防護
戒めによって防護されているので、
修行者はどこからも恐れを感じません。
聖なる戒めの体系(戒蘊)をまもるとき、
心の内部になんら汚れのない幸福を体験するのです。
だから、修行僧は戒を守るのです。
次に、
無我の理解洞察(ここでは明知と表現)と、四禅の瞑想と神通力の説法が続きます。
◇第1~第4の精神集中の瞑想と神通力
・明知について(無我の理解洞察)、
・意から成る智、
・超人的な能力、
・神の耳、
・他人の心知る、
・過去の生存、
・死と再生について、
・煩悩の汚れの消滅
と順を追って説法していきます。
ここでは無我の理解洞察を明知と表現されています!
こういった読み比べが妙味になってくると、ブッダの教えの理解が深まってきていると感じてきます。個人的な感想ですが、、、。(笑)
《参考》沙門果経(しゃもんかきょう)
つぎにブッダは、
明知と実践には四つの失敗へ導く門があることを説法します。
※この阿摩書経でブッダは、
この明知と実践には四つの失敗へ導く門があると説かれています!
◇四つの失敗へ導く門
1、明知と実践の完成にいたらないまま、落ちた果実を拾って暮らそうと考えて暮らすと、完成者のかたわらで奉仕する者にすぎない失敗となる
2、球根や根や実をたべて過ごそうと考える
3、火堂を建て、火を祀って過ごそうとする
4、バラモンをもてなそうと考えすごす
そして、ブッダはこういいます。
《実践に向かっているか》
ブッダはポッカラサッティ・バラモンもアンバッタ青年も明知の実践どころか、
失敗の門までもいっていないと叱咤します。
そして、昔のバラモンを引き合いにだします。
《昔のバラモン》
アッタカ・バーマカ、ヴァーマデーヴァ、ヴェッサーミッタ、ヤマタッギ、アンギーラサ、バーラドヴァージャ、カッサパ、バグのような聖仙たちは、自らヴェーダを作った。
しかし今のバラモンは昔の人が作ったものを、
それに従っているだけでは聖仙になろうとはありえないのです。
このようにして、ブッダの説法が終わります。
◇三十二の特徴
説法を終えたブッダが住居からでると、
アンバッタもついていき、
尊師の身体に三十二の特徴を探そうとします。
アンバッタ青年は三十二の特徴のうち、
二種類を除いて特徴を確認します。
確認できない二種類とは、
陰部が覆いに隠されていることと、舌が長いことが確認できなかったのです。
だから、
アンバッタ青年はまだブッダのことを、信用することができませんでした。
それを察した尊師は、
アンバッタに隠れた陰部を見たかのようにして、
さらに尊師は、
舌を出して、
両方の耳の穴にふれ、
両方の鼻の穴にふれ、
額の全体を舌で覆ってみせました。
するとアンバッダは、
「三十二の特徴を完全に備えている。不完全はない!」
そして次に、ブッダにこう言います。
「わたしは、仕事もたくさんあるのでこれで失礼いたします。しなければならないことがおおいので」
とブッダのもとを去ります。
《アンバッタの報告》
アンバッタはポッカラサッティ・バラモンのところに戻り、
ブッダとの会話をすべて報告しました。
ポッカラサッティ・バラモンはアンバッタにこう言います。
「おまえはつまらない三ヴェーダの知識人か、ブッダにああいえば、ブッダもこう言ってくる、そんな仕方では、体が滅びたあと、死後に悪いところに生まれるであろう。」
と怒りつけて、
それでもなお腹の虫がおさまらないので、
ポッカラサッティ・バラモンはアンバッタを足で蹴りました。
そして次の日に、
ポッカラサッティ・バラモンはブッタに会いに行きました。
ポッカラサッティ・バラモンはこう言います。
「ゴータマさん、昨日お会いになった、アンバッタ青年は愚か者です。
どうか、アンバッタ青年をお許しください。」
ブッダはこう答えます。
「アンバッタ青年が幸福になりますように」
すると、
ポッカラサッティ・バラモンは尊師の身体に三十二の特徴があるのかを探しました。
ポッカラサッティ・バラモンもアンバッタ青年と同じように、
陰部が覆いに隠されていることと、舌が長いことが確認できなかったので、
ブッダのことを信用することができませんでした。
それを察した尊師は、アンバッタのときと同じように、
隠れた陰部を見たかのようにして、
さらに尊師は、
舌を出して、
両方の耳の穴にふれ、
両方の鼻の穴にふれ、
額の全体を舌で覆って見せました。
ポッカラサッティ・バラモンはブッダに食事をふるまいます。
《ポッカラサッティ・バラモンは食事を提供する》
食事が終わるとブッダは
◇「順序ある説法」
をしました。
布施、戒め、天上、欲望の災難、下劣、汚れの話、欲望を離れる利益を説いて聞かせました。
《参考》次第説法(しだいせっぽう)
それを聞いた、
ポッカラサッティ・バラモンは、
およそ生じるものは、いかなるものもすべて滅びるものである。
と煩悩の塵や汚れのない
真理を見る目(法眼)が生じます。
そして、
《ブッダに帰依する》
ポッカラサッティ・バラモンは家族とともにブッダに帰依しました。
以前に長部経典、中部経典を読んで簡潔にまとめているデータがありますので、少し手を加えて紹介していきます。参考くださいね!
しかし、本物の原始仏典はもっともっとたくさんの内容が書かれているので、ぜひ読んでみてください↓楽しくなりますよ!