この法華経(ほけきょう)「妙音菩薩品第二十四」(みょうおんぼさつほん)ほぐし読みは、「大乗仏教」の妙法蓮華経を、大まかにほぐし読みに整理しました。
「妙音菩薩品第二十四」(みょうおんぼさつほん)
前回、「薬王菩薩本事品第二十三」(やくおうぼさつほんじほん)では、一切衆生喜見菩薩が身体に火をつけて世間を照らしました。

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「妙音菩薩品第二十四」(みょうおんぼさつほん)

《ブッダは三度目の白毫から光を放ちます。》
次にブッダは、
また眉間の白毫から東の世界に光を照らすと
浄華宿王智如来のいる浄光荘厳国も照らしました。

その国には智慧を成就して、瞑想の三昧の力を得た、
妙音菩薩(みょうおんぼさつ)がいました。
ブッダの光に照らされた妙音菩薩は、
浄華宿王智如来にブッダに会いに行く了解を得て、
三昧の力を使ってブッダに会いに行きました。
突然現れた妙音菩薩を見た文殊菩薩がブッダに尋ねます。
「なんの目的があって、この娑婆世界に表れたのでしょうか?」
ブッダは答えます。
わたくしブッダに礼拝をしにきたのと、法華経を供養しにきたのです。
文殊菩薩はさらにブッダに訪ねます。
「妙音菩薩は、なんの功徳を修めて、あのような大神通力を身につけたのでしょうか?わたしもあのような大神通力を身につけたいと思いました。」
ブッダは答えます。
それは多宝如来が答えてくれます。
多宝如来は妙音菩薩に告げます。
文殊菩薩が挨拶をしたいので、姿をみせよ。
妙音菩薩は姿を現し、まずブッダに挨拶をして、
浄華宿王智如来からの敬いの言葉も伝えました。
そしてブッダに、
「多宝如来の姿がみたいと伝えます。」
ブッダは多宝如来にその旨を伝えます。
よろしい。
と、多宝如来は回答します。
そのとき、蓮華の美を持つ、
華徳菩薩(けとくぼさつ)がブッダに質問します。
「妙音菩薩はどのような功徳を修めて、あの大神力を身につけたのでしょうか?」
ブッダは答えます。
「過去、雲雷音如来(うんらいおんにょらい)に伎楽(ぎがく)をもって供養したので、浄華宿王智如来の国生まれて、この神力を得たのです。妙音菩薩は過去に、さまざまな人や神に変化して娑婆世界に現れ、衆生のために法華経を説いたのです。」
華徳菩薩はブッダに次の質問をします。
「妙音菩薩はいかなる三昧で自在に変現して、衆生に法華経を説いたのでしょう?」
ブッダは答えます。
現一切色身三昧(げんいっさいしきしんざんまい)です。
現一切色身三昧とは、普現色身三昧ともよばれ、一切衆生の形体を自由に表すことのできる三昧。と解説されています。前回、二十三品にも出てきています。
この「妙音菩薩品」が説かれたとき、娑婆世界に来た求法者たちは、現一切色身三昧(げんいっさいしきしんざんまい)と陀羅尼(だらに)「神秘な威力をもつ言葉」を得ました。
妙音菩薩も国に戻り、浄華宿王智如来に現一切色身三昧を得させましたと報告しました。
この妙音菩薩来往品が説かれたとき、
求法者は無生法忍を得て、華徳菩薩は法華三昧を得たのです。
無生法忍(むしょうほうにん)とは、
一切のものは不生不滅であることを認めること。の意味
《妙音菩薩品第二十四 おわり》 つづく
文殊菩薩について
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)はサンスクリット語でマンジュシュリーと呼ばれます。
梵字(ぼんじ)は「マン」です。
真言は「オン アラハシャ ノウ」です。
古代インドのコーサラ国のバラモンの家に生まれた実在した人物とされています。
日本では『維摩経』(ゆいまきょう)で維摩の知恵に負けない明晰な役で登場していて、
『華厳経』では善財童子を仏法求道の旅へ誘う重要な役です。
いろんなお経の重要な登場人物として、
文殊菩薩は悟りへ導く「智慧」の象徴とも言われています。
ことわざの「三人寄れば文殊の知恵」もこの文殊菩薩さんです。
この法華経では第一品から登場していますが、智慧の役より聞き役の印象です。



