四禅(しぜん)を「図解」で説明します。四禅はサマタ瞑想の一種で、座禅でいう止観(しかん)の「止める・とどめる」精神統一の瞑想です。仏教の世界観、三界(さんがい)欲界、色界、無色界の「色界」(しきかい)の瞑想になります。この瞑想に入るまえに、覚りの障害となる五蓋(ごがい)を取り除く必要があります。


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色界の四禅(しぜん)
色界の四禅(しぜん)は、仏教の世界観の三界(さんがい)の色界(しきかい)の瞑想です。
《三界・さんがい》
・欲界(よくかい)欲にまみれた世界
・色界(しきかい)欲望を離れた純粋な物質の世界
・無色界(むしきかい)純粋に精神的な世界
サマタ瞑想の一種で、座禅でいう止観(しかん)の「止める・とどめる」精神統一の瞑想です。
五蓋(ごがい)の除去
五蓋(ごがい)とは、覚りの修行の瞑想の邪魔になる五つの障害です。
五蓋も煩悩のことですが、特に瞑想修行に入るときに邪魔になる五つの煩悩で、
こころに覆いかぶさる”フタ”として表現されています。
瞑想に入る前に取り除く必要があります。
《五蓋・ごがい》
①貪欲(とんよく)、むさぼることです。
②瞋恚(しんに)、怒りのことです。
③惛沈(こんじん)・睡眠(すいめん)、こころの落ち込みとねむけのことです。
④掉挙(じょうこ)・悪作(おさ)、こころの浮つきと後悔(こうかい)のことです。
⑤疑惑(ぎわく)ブッダの教えを疑うこうとです。
色界の四禅の入る前に、まず欲界の五蓋(ごがい)の欲や不善を除去する必要があります。


五禅支(ごぜんし)
五禅支(ごぜんし)とは「尋(じん)・伺(し)・喜悦(きえつ)・楽(らく)・一境性(いっきょうせい)」の五つの「支」で、瞑想を支える能力、こころの精神作用です。
《合わせて読んでね》「七科三十七道品」(しちかさんじゅうしちどうほん)
・「尋・じん」
大まかな考察の意味で、瞑想して考察を始めた初期の状態です。
・「伺・し」
細かな思慮の意味で、瞑想して考察を継続してる状態です。
・「喜悦・きえつ」
瞑想で欲を離れることで得られる「喜び」です。
・「楽・らく」
瞑想で得られる安楽(あんらく)です。
・「一境性・いっきょうせい」
集中する気持ちのことです。
色界の四禅の四段階
・初禅(しょぜん)
初禅(しょぜん)「離生喜楽・りしょうきらく」とも呼ばれます。
尋・伺・喜・楽・一境性の五禅支すべてがある状態です。
・細かな思慮(伺)の考察を継続しつつある状態で、
・喜悦(喜び)と
・楽(安楽)が生じて、
・一境性(集中)がある
状態です。
・二禅(にぜん)
二禅(にぜん)「定生喜楽・じょうしょうきらく」とも呼ばれます。
大まかな考察(尋)と細かな思慮(伺)を離れて、
喜・楽・一境性が残る状態です。
心が一転に集中し分別も思慮もない状態で、
・喜悦(喜び)と
・楽(安楽)が生じていて、
・一境性(集中)がある
状態です。
・三禅(さんぜん)
三禅(さんぜん)「離喜妙楽・りきみょうらく」とも呼ばれます。
楽・一境性が残る状態です。
・楽(安楽)が生じていて、
・一境性(集中)がある
状態です。
・四禅(しぜん)
四禅(しぜん)「非苦非楽・ひくひらく」とも呼ばれます。
一境性のみで「捨・しゃ」の中庸(ちゅうよう)で偏(かたよ)らない心が生まれます。
中庸(ちゅうよう)より生じた注意力がもっとも清浄になっています。
・一境性(集中)がある
状態です。
原始仏典 長部経典 第一経「梵網経・ぼんもうきょう」には
「現法涅槃論・げんぽうねはんろん」現世において初禅から四禅に達して住する、
「如来自ら覚り体現して教示している。賢者だけが理解できる諸法」
と説明されてでてきます。
(参考:「図解」ブッダの教えもくじはこちら)