原始仏典 中部経典 第61経「羅云経」(らうんきょう)はブッダがラーフラに業の浄化を説くお経です。読みやすくほぐして、さらにブッダの教えもわかりやすくしています。
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ブッダがラーフラに 業の浄化 を説くお経 中部経典 第61経 「羅云経」(らうんきょう経)ラーフラへの説諭
わたしはこのように聞きました。
久しぶりの登場です♪キラキラ!
《ブッダがラーフラに戒めの教えを説きます。》
ブッダは夕方、独坐よりたって、
ラーフラのところへ行き教えを説きました。
ラーフラよ、この水入れにわずかに水が残っているのが見えますか?
はい、尊師
嘘をついても恥じることのない者には、沙門の性質はこのように少ないのです。
そして、
ブッダは残りの水を捨てて、
ラーフラに尋ねます。
ラーフラよ、残りの水を捨てたのを見ましたか?
はい、尊師
嘘をついても恥じることのない者には、沙門の性質はこのように捨てられているのです。
次に、
ブッダは水入れをひっくり返して、ラーフラに尋ねます。
ラーフラよ、この水入れがひっくり返されたのを見ましたか?
はい、尊師
嘘をついても恥じることのない者には、沙門の性質はこのようにひっくり返されているのです。


次に、ブッダは水入れをおこして、ラーフラに話しかけます。
ラーフラよ、この水入れが空っぽなのが見えますか?
はい、尊師
嘘をついても恥じることのない者には、
沙門の性質はこのように空っぽなのです。
そして、
ブッダは象のたとえを伝えてから、ラーフラに言います。
意図して嘘をついて恥じることのない者には、
行えない悪はなにもない。
それゆえに、ラーフラよ、
『わたしは戯れにも嘘は言わない」と、
あなたは学びなさい。カッ!
説話集に出ていた、ラーフラが在家の人に冗談で嘘をついたことを、ブッダが戒めていることがきちんと原始仏典にも出てるんだね!


そして、ブッダは次に、
身体の行いを観察する修行をラーフラに教えます。
《身体の行いを観察する修行》
ラーフラよ、鏡はなにを目的としますか?
尊師よ、顧り見ることを目的とします。
それと同様に、
『身体の業』・『ことばの業』・『こころの業』を
何度も顧みて行うのです。
身体によって業を行おうと、
『欲する』とき、
わたしは身体によって業を行おうと欲している。
わたしはこの身体による業は自らを損なうことにならないか?
他人を損なうことにならないか?
両方を損なうことにならないか?
この身体による業は苦しみを引き、
苦しい果報をもたらさないか?
と、
よく観察して、
身体によって行う業が、
自らを損ない、
他人を損ない、
両方を損ない、
苦しみを引き、
苦しい果報をもたらすであろう。
と知るなら、
ラーフラよ、
そのような身体による業は可能なかぎり、
行ってはならない。
それとは逆に、
身体によって行う業が、
自らを損なうことがない、
他人も損なうことがない、
両方を損なうことがない、
安楽を引き、
安楽な果報をもたらすであろう。
と知るなら、
ラーフラよ、
そのような身体による業は、
行うべきなのです。
そして、もし
身体によって業を『行なっている』ときに、
苦しい果報をもたらしているのなら、
そのような身体による業は中止すべきです。
それで、
身体によって業を『行なったあと』に、
苦しい果報をもたらした。
と知るなら、
清らかな行いをする人や師に、
告白して明らかにするのです。
そして、
告白して明らかにして、
将来の防御とするのです。
ラーフラよ、
わたしは身体によって業を行った。
わたしのこの身体による業は、
この身体による業は、
安楽を引き、
安楽な果報をもたらした。
と知るのなら、
ラーフラよ、
あなたは喜悦し、
昼夜に善の事柄を学びなさい。
『ことばの行い』、『こころの行い』も同様に
なんども観察して行うのです。
そして、
ブッダの教説は続きます。
《ブッダはラーフラに業の浄化を説きます》
過去世において、
身体による業を浄化し、
ことばによる業を浄化し、
ことばによる業を浄化した沙門またはバラモンは、
すべてこのように何度も顧みて、
身体による業を浄化し、
ことばによる業を浄化し、
こころによる業を浄化したのです。
未来世においても、
現世においても、
業を浄化した沙門またはバラモンは、
このように何度も
身体による業
ことばによる業
こころによる業を
顧みて、業を浄化するのです。
それゆえに、
ラーフラよ、
わたしたちは
何度も顧みて身体による業を浄化しよう、
何度も顧みてことばによる業を浄化しよう、
何度も顧みてこころによる業を浄化しよう。
と、学ぶのです。
尊者ラーフラは歓喜し、世尊の教説を信受しました。
《原始仏典 中部経典 第61経「羅云経」》完
ブッダの教え『業の浄化』の理解を深める
《経典のブッダの教え復習とポイント》
もし、
身体によって行う業が、
自らを損ない、
他人を損ない、
両方を損ない、
苦しみを引き、
苦しい果報をもたらすであろう。
と知るなら、
ラーフラよ、
そのような身体による業は可能なかぎり行ってはならない。
それとは違って、
もし、
身体によって行う業が、
自らを損なうことがない、
他人も損なうことがない、
両方を損なうことがない、
安楽を引き、
安楽な果報をもたらすであろう。
と知るなら、
ラーフラよ、
そのような身体による業は行うべきなのです。
このことは、良いことが拡がって、悪いことがなくなっていく教え、
七科三十七道品の「四正断」も合わせて確認してみて下さい!


四正断を見たら、
次に、
八正道の「正思惟・正語・正業」も見てみて下さい!
七科三十七道品の「四正断」が「八正道」に収まることも
理解できるのと、
このお経が、八正道の教えの四念処や正思惟の実践を含んでいる
ことも理解できます!


そして、
《ここがポイント!》
もし、
苦しい果報を生み出す業を行ってしまったら、
清らかな行いをする人や師に、
告白して明らかにするのです。
そして、
告白して明らかにして、
将来の防御とするのです。
このことは、良いことが拡がって、悪いことがなくなっていく教え、
七科三十七道品の「四正断」に加えて、
「沙門果経」にでてくる、『感覚器官の防御』と『注意力と明瞭な意識』も合わせて確認してみて下さい!


ぼーさん!
ブッダがラーフラにした教説はとても具体的な内容だね!
えん坊、ほんとだね!
ブッダも実の息子を解脱させるために
力の入った教説なのが伝わるよね!
そしてなんと、原始仏典にはこの
「羅云経」(らうんきょう)の
次に
中部経典 第六十二経 『大ラーフラ教誡経』
「入出息念の修行法」が出てきます。
そして、
中部経典 第147経 「教羅睺羅小経」
でついに、ラーフラが解脱に至ります。
解脱までのブッダの教説がしっかりと出てきます!
この流れでブッダの教えを理解すると、
解脱の理解が深まりました!!!
そして、原始仏典にはいろんなお経がありますが、
ブッダが説く教えは一貫して同じことに、
繋がっていることもわかってきました!
ほぐし読みも紹介するので、是非見てくださいね!