八正道(はっしょうどう)とは、わかりやすく「図解」で説明します。八正道はブッダの覚りに導く修行方法です。四諦(したい)の道諦(どうたい)、「苦」の滅を実現する真理の実践方法です。七科三十七道品(しちかさんじゅうしちどうほん)もこの八正道に収まります。さらに簡略化して三学(さんがく)になります。


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八正道(はっしょうどう)とは、簡単にわかりやすく 苦の滅の実現
八正道(はっしょうどう)とは、ブッダの覚りに導く教えで、
簡単にわかりやすくいうと、
「苦」を滅する修行方法です。
自分の行いの、三業(さんごう)
身業(しんごう)・からだで行うこと、
口業(くごう)・くちで話すこと、
意業(いごう)・こころで思うこと、
をよくしていく実践方法の教えです。
正しく実践すれば、正見(しょうけん)の境地になり、
「中道(ちゅうどう)」
の境地を得ることができます。
それでは、八正道を
ひとつひとつ見ていきましょう。
1.八正道の「正見」(しょうけん)
正しく四つの真理をみる(四諦を見る)
「四諦の智」ともいわれ、他の七つができて実現できる境地です。
2.八正道の「正思惟」(しょうしゆい)
正しく四諦の道理を考え判断することです。
「身口意(しんくい)」の三業(さんごう)の意業(いごう)です。
こころの働きを正しくしていくことです。
正思惟を具体的にいうと、
・無害心(むがいしん)の「他の生命を傷つけない気持ち」
・無瞋恚(むしんに)の「怒らない気持ち」
・無貪欲(むとんよく)の「必要以上に欲張らない」
の三つ想いのことです。
悪い想いを少なくし、善い想いを広げていくのです。
3.八正道の「正語」(しょうご)
真実のある正しい言葉を使うことです。嘘や悪口を言わないことです。
「身口意(しんくい)」の三業(さんごう)の
口業(くごう)、言葉を正すことです。
人を傷つける悪い言葉を少なくして、真実のある善い言葉を使うことです。
4.八正道の「正業」(しょうごう)
正しい行為をおこない、間違った行為はしないことです。
「身口意(しんくい)」の三業(さんごう)の身業(しんごう)、身体の行いを正すことです。
正語・正業は正思惟の正しく想うことの、言葉と身体の実践になります。害さない・怒らない・欲張らない行動の実践です。
5.八正道の「正命」(しょうみょう)
正しい生活をすることです。
規則正しい健康的な生活をすごすことです。
6.八正道の「正精進」(しょうしょうじん)
正しく覚りに向かって努力することです。
身口意の三業を正すと精進できます。
悪い行いを少なくしていき、善い行ないを広げていくと精進ができるのです。
正精進は七科三十七道品の四正断(ししょうだん)に収まります。
「すでに起こった悪い行いを断っていく、
未来に悪い行いが起こらないようにする、
過去に生じた善を増長していく、
いまだに生じていない善を生じさせる。」
「大念処経」に四正断は五蓋が取れて、精進ができるとでてきます。
精進するということは、想いを継続していかなければならないので、念(ねん)ずる気持ちが必要になります。その念ずる想いは善いことがひろがる想いになります。
7.八正道の「正念」(しょうねん)
欲望・怒りなどを離れて正しく気付くことです。
観察する瞑想・気づく瞑想・ヴィパッサナー瞑想の実践のことです。
念(ねん)
注意力の意味があり、こころを一点にとどめて決意する、「心の専注」と解説されます。
他にも、
①対象を記憶して忘れないこと
②こころが放縦にならないように気をつけ注意力が具わっていること
③無常・苦・無我をつねに念頭におく、四念処(しねんじょ)のこと
と意味されます。
「沙門果経」にも、注意力・明瞭な意識をもって行動するともでてきますね!


8.八正道の「正定」(しょうじょう)
正しく精神を集中して安定させることです。
精神統一の瞑想・止(とど)める瞑想・サマタ瞑想の実践です。
欲望などを手放し、欲界から色界、無色界へと清浄な世界に行くのです。


八正道とは、わかりやすく 四つの真理「四諦」の「道諦」のことです。
八正道は、ブッダが知見した四つの真理、
四諦(したい)の道諦(どうたい)、
「苦」の滅を実現する真理の実践方法のことです。


ブッダはこの四諦の「苦」の真理を知見して、成道をしました。
お経に出てくる成道のエピソードを見てみましょう。
中部教典 第26経「聖求経」のブッダの成道のエピソード
ブッダは四諦を知見して成道をして、このように言いました。
みずからは汚れるものであるけれど、汚れるものに患いを知り、汚れることのない無上の安らぎであるニッバーナを求め、汚れることのない無上の安らぎであるニッバーナを得たのである。
「わたしに知見が生まれ」
「わたしの解脱は不動である。これが最後の生まれである。もはや再生することはない。」


中部教典 第36経「マハーサッチャカ経」の成道のエピソード
四禅の瞑想をして、
夜の初更に「宿命智・しゅくめいち」、
夜の中更に「天眼智・てんがんち」、
夜の最後に「漏尽智・ろじんち」の神通力を獲得して、
四つの苦の真理「四諦・したい」を如実に知りました。
「煩悩を捨てられないから迷妄(めいもう)がある。煩悩をすてたら再生はない。」
と成道したエピソードが詳細にでてきます。


四諦の理解のための修行方法なのじゃ!ニヤリ!
八正道とは、自分の行いの三業をよくして、煩悩をなくす実践!
おさらいとまとめ、
八正道は自分の行いの、
身業(しんごう)・からだで行うこと、
口業(くごう)・くちで話すこと、
意業(いごう)・こころで思うこと、
三業(さんごう)をよくしていき、
煩悩を解き放ち、滅していく実践方法の教えです。
正しく実践すれば、正見(しょうけん)の境地になり、
「中道(ちゅうどう)」
の境地を得ることができます。


八正道を簡単にしたのが、三学(さんがく)の「戒学・定学・慧学」






補足ですが、
密教の瞑想「阿字観」も貪瞋痴を手放すと出てくるので、
八正道の実践に似ているので、紹介しておきます。
密教「大日経」に出てくる瞑想「阿字観」も八正道に似ている。
密教で有名な「阿字観・あじかん」の瞑想も、
「貪・瞋・痴を手放して、清浄を得よ!」と、でてきます。
瞑想もいろんなやり方があるのですが、
自分のこころを観察して、自分の中の悪い煩悩を取り除いていくこと、
と八正道ににているのがわかります。参考ください。

